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第11回 人生を変えたゴールドコースト――初めての海外

  • Writer: T. OSUMI
    T. OSUMI
  • Dec 11
  • 5 min read

Updated: 6 days ago

「29歳の夏、あの白い砂浜が『楽しむこと』を許してくれた」 ――沖縄暮らしで見つけた、人生の羅針盤


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――(記者)目の前に広がる東シナ海、素晴らしい眺めですね。沖縄移住だなんて、誰もが憧れる生活です。


先生: ははは、よく言われますよ。「先生は若い頃から海外のリゾート地ばかり渡り歩いて、優雅ですね」なんてね。でも、とんでもない。私の20代なんて、優雅さとは程遠い、貧乏でコンプレックスの塊のようなものでしたから。


――えっ、そうなんですか? 意外です。


先生: 家計も決して楽ではなかったし、学生時代は海外旅行なんて夢のまた夢。留学試験には挑戦したものの、語学力が全く追いつかずに惨敗しました。「世界」は私にとって、分厚いガラスの向こうにある幻だったんです。 そんな私が、大学教員になって二年目、なけなしの貯金をはたいて初めて日本を出たのが29歳の時。行き先がオーストラリアのゴールドコーストでした。


――なぜまた、初めての海外でゴールドコーストを?


先生: 漠然と青い海と白い砂浜に憧れていて、とにかく「別世界」に行きたかったんでしょうね。白い砂浜が30キロも続く場所なら、何かが変わるんじゃないかと。ホテルではなく、暮らすように滞在できるコンドミニアムを選びました。 でもね、到着した初日は後悔しましたよ。部屋が一人には広すぎて(笑)。窓の外は一面の海で絶景なんですが、不安で押しつぶされそうでした。近くの店で水を買うのさえ、心臓が早鐘を打って。「Can I have...」の声が震えていたのを覚えています。


――今の先生からは想像もつきません(笑)。その不安はいつ頃晴れたのですか?


先生: 一週間も経った頃でしょうか。魔法にかかったみたいに、フッと軽くなったんです。 朝、ビーチ沿いを散歩していると、すれ違う人たちがみんな、極上の笑顔で「G'day!(グッダイ!)」って声をかけてくる。日本でしか暮らしたことのない私には、彼らがまるで「人生を楽しむ達人」のように見えました。 私は泳ぎは下手なので、ただ砂浜に座ってサーファーを眺めていたんです。彼らは、単なる板切れに乗って波と戯れているだけでしょう?


――言われてみれば、そうですね(笑)。



先生: でも、彼らはそれに命を燃やして、海から上がってくると最高に幸せそうな顔をしている。ビーチで大人が本気で砂の城を作ったりもしている。「ああ、人生って、こんなに単純に楽しんでいいんだ」って。 それまでの私は、常に何かに追い立てられて、眉間に皺を寄せて生きていた。でも、あの太陽と波の音が「もっと肩の力を抜きなさい」と言ってくれた気がしたんです。


――それが、先生の人生観を変えるきっかけに。


先生: ええ。夜になれば、日本とは逆さまのオリオン座が頭上に輝いていてね。それを何時間眺めていても飽きない。 英語が通じなかった経験が悔しくて、帰国後は猛勉強しましたよ。その甲斐あって、数年後にはゴールドコーストのボンド大学で客員教授として一年過ごすことができました。


――客員教授として再訪されたんですね。


先生: 実はその時、最初はメルボルンの名門大学に行く予定だったんです。でも先方に希望を訊かれたので正直に「研究室とパソコンが欲しい」と伝えたら、「準備できないので受け入れはキャンセルします」と一方的に断られてしまって(笑)。


――なんと! パソコン一台で破談ですか(笑)。


先生: 若気の至りです(笑)。「受け入れていただけるだけで十分です」と答えておけばよかったのでしょうが。で、慌てて探して受け入れてくれたのが、ゴールドコーストに新設されたボンド大学でした。到着したら研究室が用意されていただけではなくドアには客員教授(Visiting Professor)のプレートが。客員研究員(Visiting Scholar)としての受け入れだと思っていたので驚きでした。結果としてこの場所にまた呼ばれたのかもしれません。


当時はインターネットもなくて、連絡手段は手紙か電話・FAXだけ。でもね、振り返ってみると、その頃の方が時間はゆったり流れていました。今はネットのおかげで便利ですが、逆に「時間泥棒」に遭っているような気もします。 何もしない贅沢を知ったのは、やはりあのアナログな時代、ゴールドコーストでの日々があったからこそですね。


――その「贅沢な時間」の記憶が、今の沖縄暮らしに繋がっていると。


先生: 間違いなくそうです。ハワイ大学での生活も経験しましたが、結局、私が求めていたのは、あの29歳の夏に感じた「人生を楽しむ」「時間を追わず追いかけられず」という感覚だったんです。 ゲーテの『ファウスト』に出てくる名セリフ、「時よ止まれ、お前は美しい("Verweile doch! Du bist so schön.")」の境地に似ているかもしれません。スティーブ・ジョブズは「点と点を繋ぐ」と言いましたが、私の人生の点は、あのオーストラリアの海岸線から打たれ始めた。 もしあの時、怖気づいて飛行機に乗っていなければ、今ここでこうして、あなたと東シナ海を見ながら話していることもなかったでしょうね。


――これからの人生は悠々自適ですか。


先生: いやいや、生涯現役!これからも独立研究者として調査研究は続けていきます。若い頃はのんびりしたリゾートライフに憧れていましたが、生成型AIやXR技術の進歩でやりたいことがどんどん増えてきました。それに在職中から関わっている起業家育成やスタートアップ支援も楽しくて仕方がない。悠々自適なんてとんでもない。死ぬまでに宇宙旅行も体験したいですね。


――最後に、これから旅に出る人へメッセージをいただけますか。


先生: 遅すぎることは決してない。旅は人を再び輝かせる。私のお気に入りの詩人ルーミーの言葉を借りれば―― Travel brings power and love back into your life.


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(注)今回は初めての海外旅行の体験をメモ書きにして、まずはGeminiの「思考モード」で旅行雑誌向けのエッセイを作成してもらいました。まずまずの出来栄えではありましたが、ちょっと堅苦しい感じもするので、雑誌記者とのインタビュー形式にしてもらいUPしました。こんな感じのほうが読みやすくていいかもしれませんね。


英語版のブログの方にはもっと詳しい内容をUPする予定なので、そちらも参考にしてください。


写真は実際に私が撮影したものですが、ゴールドコーストに初めて行った頃はデジカメやスマホがなかったので、その後再訪した時の写真です。大学には新しい建物が建ち、ゴールドコーストには驚くほどたくさんの高層ビルが増えていました。


一年間住んでいたバーリーヘッズにあるサザンクロスアパートメント:12階か13階
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